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zoom RSS 三屋清左衛門残日録   2003/12/20

<<   作成日時 : 2006/03/04 20:44   >>

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   「日残りて昏(く)るるに未だ遠し」で始まる藤沢周平の時代小説「三屋清左衛門残日録」(文藝春秋社刊)は、藩の用人(藩主の秘書役)を勤め上げ、息子に家督を譲って隠居した三屋清左衛門の日々の生活を日記形式で描いた作品です。この小説は、およそ十年前(1993/04/02〜1993/07/09)にNHKでドラマ化され 、放送され ましたが、この秋に再放送されました。今回はもらさずに見ることが出来ましたが、以前にもまして強いインパクトがありました。

 清左衛門(仲代達矢が演じる)は、隠居をむしろ束縛から解き放たれた新しい人生と会得し、川釣り、剣術での身体鍛錬、そして旧友(町奉行役・財津一郎)との親交、小料理屋 涌井のおかみ(かたせ梨乃)との 淡い恋など、これまでの人生で成し 得なかった様々な経験をします(注:清左衛門は既に妻を亡くしていました)。物語の後半には、隠居ながらも元用人というキャリアをもって、敵対する派閥の領袖と直談判 、藩の混乱を収拾する大役をも果たします。そして最後には女将(おかみ)との切なくも悲しい別れに向き合う、人間としての感性と輝きを失わない生き様に、 私たちはハタとさせられます。

 残日録という言葉の響きには、人生の残る日々を記すという暗いイメージを連想しますが、この残日録は、「日残りて昏るるに未だ遠し」という心境の中で、なお周囲から頼りにされ、良き友がいて、 愛する人がいて、生きることの喜びがあり、まだ為すべきことがある、そうした人生の日々を記すものだと清左衛門は嫁(南果歩)に語り ます。この清左衛門の姿は、今の時代で定年退職したサラリーマンと重ねて見ることができます。多分、そうした人達の理想として「清左衛門」を描いたのかも知れません。

 また清左衛門のように輝いている人間がいる一方で、老いて病に臥す友(河原崎長一郎)があり、かつての派閥争いに敗れ凋落した幼なじみ(佐藤慶)があり、その2人の息子の友情があり、また夫(赤羽秀之)の出世を願う嫁と、生来の真面目さから息子の出世の口添えすることができない清左衛門の悩みがあり、そうした人生の別な側面も、温かいまなざしで描いています。

 「三屋清左衛門残日録」は、時代小説というよりも人間の内面を描いた文学としても際立っています。また、このテレビドラマでは、それぞれの配役が「はまり役」で、特に親友でとぼけた町奉行役を演じた財津一郎、そ して小料理屋・涌井の女将を演じた「かたせ梨乃」は、その人物像を一層魅力的なものにし、いつまでも心に残るドラマにしてくれた のでしょう。


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